保険金の未請求を無くそう

私が20年以上保険の提案・販売に関わってきてずっと疑問だった事があります。それは、請求されずに支払われないままになっている死亡保険金があるのではということです。

 亡くなった方の御家族がどこの保険会社に何件の契約をされているかはっきりと把握していればそういう問題は起こりませんが、把握していない方もいらっしゃるのが、現場を経験している私の実感です。

 私は、行方不明の保険契約があるのは絶対おかしいと思います。また、その責任を契約者とそのご家族に求めるのは間違っていると思います。その理由は次の3つです。

 

1.保険会社の義務

 保険金を支払わないというのは、通常の商売で言えば契約をして代金(保険料)を頂いていながら納品をしないのと同じ。保険契約は物品の売買契約と違って納期(死亡時期)が分からないから請求されないと支払わないという言い分は契約を請け負っている側の怠慢です。保険が掛かっている人が節目の年齢(80歳、85歳、90歳・・・)になったら保険会社の側から本人確認をするなどの努力があるべき。

 

2.保険というものの社会性

 生命保険文化センターの調査によると平成21年度の簡易保険・JA共済を含めた世帯加入率は90.3%です。保険がこれだけ社会の中に浸透している理由は、日常生活を脅かす経済的ギャップ(事故による物質損害、賠償金の支払や、死亡による収入の途絶、入院による予期せぬ出費・・・etc)が生じたときに、そのギャップを埋めて日常生活を経済的に平穏に近づける役目が必要とされているからです。それは、自分ひとりのことではなく、公共性を持っています(例えば事故の相手に対する賠償や、自分の死亡による家族、親戚、勤務先に与える影響)。

 その公共性を持っている保険の本来の役割である死亡保険金であるからこそ、最終的にちゃんと支払われるというシステムが無いと、本来の役目を100%果たせるとは言い切れず、本当の安心は得られないと思うのです。

 

3.契約者の意思

保険の契約には登場人物が三人います。

1=契約者(掛け金を支払う人)

2=被保険者(保険を掛けられる人)

3=受取人(保険金の受取人)

契約者≠被保険者の契約であれば話は違ってきますが、契約者=被保険者の契約の場合、契約者は自分に万が一のことがあった場合に受取人に保険金を残したいと思って契約するわけですが、受取人がその契約の存在を知らないと契約者の意思は無駄になる危険性があります。契約者から受取人にしっかりとその保険契約の存在を伝えていれば解決できる問題ですが、現状ではそうでもないケースが多いのが、現場を経験してきた私の実感です。また、受取人が先に亡くなっている契約で受取人変更をしていないケースも少なくありません。